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ラーメン

 日本領事館に用事があり、電車で1時間半のデュッセルドルフに出かける。役所の用事のために家族全員早起きし、いそいそと出かけるのは、なんたって行き先がデュッセルドルフだから。以前からそこは「在外邦人のパラダイス」みたいに言われているのを聞いていた。寿司、天ぷら等の和食レストランは言うまでもなく、日本食材の店とか日本の本屋さん、デパートの三越、カラオケまであるとのこと。なんとなく横浜中華街の日本版みたいのを想像して「すごいなあ」と思っていた。ドイツに来てたかだか一ヶ月、特に日本の何が恋しいということもないが、一体どんなところか見てみたくなった。
 娘は「ラーメン食べよう!」と盛り上がっている。ネットで調べて「なにわ」という店をチェック。地図も打ち出して準備万端。ネット上の意見では「感動した」「いまいち」「トンコツがばっちり」「トンコツが薄い」「醤油が美味い」「味噌がいける」と評価はバラバラ。まあそんなものでしょう。
 領事館での用事をさっさと済ませて、通称「日本人通り」と呼ばれるインマーマン通りを歩く。中華街のようなのを想像してドキドキしていた私は、普通のドイツの大通りで拍子抜け。それでもよく見ると、ここにもあそこにも漢字の看板が。中国系、韓国系もあわせればかなりの数かも。そしてミュンスターでは滅多に会わない東アジア系の人の多いこと! 日本人らしい人もたくさん歩いている。日本製と思われる(我が家のとそっくりの)軽そうで華奢そうなベビーカーを押しているお母さんともすれ違う。
 なにわ開店の12時まで「日本の本」と大きく書かれた本屋で時間をつぶす。価格は日本の倍以上。立ち読みで我慢する。朝が早かったのでお腹もどんどん空いてくる。さあ、12時だ!とみんなではりきって店に向かう。
 ところが。
 改装中で閉まっている。
 がっくりと肩を落とし首をうなだれて、絵に描いたように落ち込む娘。分かりやすくて可笑しいけれど、娘ほどラーメンに執着してなかった私も、それを見てなんだか無性に悔しい気分になってきた。どうも人の気分が伝染しやすい。食べられないとなると、食べたい。「誰でもいいから通りすがりの日本人らしい人に聞こうよ!」と見境のなくなってきた娘。そこで日本食材店で聞いてみることに。すると、今さっき出て来た領事館の目の前に、もう一軒ラーメン屋があると判明。なーんだ、良かった!
 「えっさ」というそのお店で、娘は醤油ラーメン、私は味噌ラーメン、夫はモヤシ塩ラーメン、息子のために餃子を注文。先客は会社員風日本人二人。それぞれマンガと新聞を読みながらの食事が、なんとも日本風。作っているのは若い日本の男性。「ぇらっしゃい!」と威勢がいい。
 それで肝心の味の方はと言うと。うーん。醤油味が一番ラーメンの味だった。でも、やはりデュッセルドルフでラーメンを食べる、という目的を果たしたので、とりあえず清々しい気持ちになった。とはいえ、どうも物足りない感じがしたからなのか、帰りにはついつい日本食材店でインスタントラーメンを買ってしまった。
by jukali_k | 2005-08-03 23:14


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